副腎石灰化の原因

はじめに

副腎は、腎臓の上にある小さな臓器で、ホルモンを産生しています。副腎石灰化とは、副腎にカルシウムが沈着して、X線やCTスキャンで白い斑点として見える状態をいいます。この石灰化は、様々な原因で起こります。

原因

副腎石灰化の原因は、以下の通りです。

感染症

• 結核: 副腎への結核菌感染によって、副腎に炎症や壊死が起こり、石灰化につながります。
• ヒストプラズマ症: ヒストプラズマ・カプスラータ菌による感染症で、肺から広がり、副腎にも感染することがあります。
• コクシジオイデス症: コクシジオイデス・イミティスポルマ菌による感染症で、南西部アメリカ州やメキシコで発生し、副腎にも感染することがあります。

内分泌疾患

• 原発性アルドステロン症: 副腎腫瘍によってアルドステロンが過剰に産生され、高血圧、低カリウム血症などの症状を引き起こします。この腫瘍が石灰化する可能性があります。
• クッシング症候群: 副腎が過剰にコルチゾールを産生すると、このホルモンが副腎に蓄積して、石灰化につながります。

腫瘍

• 副腎腺腫: 良性の副腎腫瘍で、石灰化する可能性があります。
• 副腎癌: 悪性副腎腫瘍で、通常は石灰化しません。しかし、稀に石灰化する副腎癌もあります。

その他

• 副腎出血: 副腎への出血が、組織の線維化や石灰化につながることがあります。
• 外傷: 副腎への外傷により、組織が損傷して、石灰化が起こることがあります。

疫学

疫学調査によると、副腎石灰化の有病率は、以下の通りです。

• 一般集団: 約2％
• 特定の集団:
  • 結核患者の約30％
  • ヒストプラズマ症患者の約10％
  • コクシジオイデス症患者の約5％

症状

副腎石灰化自体は、通常は無症状ですが、石灰化の原因となる基礎疾患によって、以下の症状が出る場合があります。

• 高血圧
• 低カリウム血症
• 体重増加
• 体毛の増加
• 皮膚の菲薄化
• 筋力低下

診断

副腎石灰化は、X線やCTスキャンで診断されます。また、基礎疾患を診断するために、血液検査やホルモン検査が行われることもあります。

治療

副腎石灰化に対する治療法はありません。ただし、石灰化の原因となる基礎疾患があれば、その治療が行われます。

予後

副腎石灰化の予後は、石灰化の原因となる基礎疾患によって異なります。結核やヒストプラズマ症などの感染症が原因の場合は、適切な治療により、予後が良好です。しかし、副腎癌が原因の場合は、予後が不良です。

予防

副腎石灰化を予防するには、以下のような対策が効果的です。

• 結核やヒストプラズマ症などの感染症に対する予防接種を受ける。
• 外傷を防ぐために、安全な行動を心がける。

まとめ

副腎石灰化は、副腎にカルシウムが沈着して起こる状態です。結核やヒストプラズマ症などの感染症、内分泌疾患、腫瘍などが原因で起こります。副腎石灰化自体は通常は無症状ですが、基礎疾患によって症状が出る場合があります。治療法はありませんが、基礎疾患の治療により、予後が改善することがあります。