犬の白血球数が高い - 原因、診断、治療

はじめに

白血球は、感染や病気から体を守る免疫細胞です。犬でも人間と同様に、白血球数が上昇することがあります。白血球数が高い状態は「白血球増多症」と呼ばれ、さまざまな原因が考えられます。この記事では、犬の白血球数が高い場合の原因、診断、治療法について詳しく解説します。

白血球増多症の原因

感染症
* 細菌感染（例：肺炎、尿路感染症）
* ウイルス感染（例：ジステンパー、パルボウイルス感染症）
* 真菌感染
* 寄生虫感染

炎症
* 関節炎
* 皮膚炎
* 外傷

悪性腫瘍
* リンパ腫
* 白血病
* 多発性骨髄腫

その他の原因
* 副腎皮質機能亢進症（クッシング症候群）
* 脾腫
* ストレス

症状

白血球数が高い場合、以下のような症状が現れることがあります。

• 発熱
• 食欲不振
• 嘔吐
• 下痢
• 元気消失
• リンパ節の腫れ
• 脾臓の腫れ

診断

白血球数が高い場合、獣医は以下のような検査を行います。

• 血液検査（白血球数測定）
• 身体検査
• レントゲン検査
• 超音波検査
• 病理組織検査（骨髄生検など）

血液検査の結果

血液検査では、白血球数だけでなく、白血球の種類や形態も調べられます。白血球には、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の5種類があり、それぞれが特定の種類の感染や病気に対して反応します。

正常な犬の白血球数

犬の正常な白血球数は、一般的に6,000～17,000/μLです。ただし、子犬や高齢犬では、この範囲を超える場合があります。

重度の白血球増多症

白血球数が50,000/μLを超える場合は、重度の白血球増多症と診断され、緊急の治療が必要です。

治療

白血球数が高い場合の治療法は、根本的な原因によって異なります。

感染症の場合
* 抗菌薬
* 抗ウイルス薬
* 抗真菌薬

炎症の場合
* ステロイド剤
* 非ステロイド性抗炎症薬

悪性腫瘍の場合
* 化学療法
* 放射線療法
* 手術

その他の原因の場合
* 副腎皮質機能亢進症の治療
* 脾腫の摘出手術

予後

白血球数が高い場合の予後は、根本的な原因や治療に対する反応によって異なります。感染症による白血球増多症の場合、適切な治療を行えば予後は良好です。しかし、悪性腫瘍が原因の場合、予後は慎重に進める必要があります。

予防

白血球数の上昇を予防するためにできることは以下です。

• 定期的なワクチン接種
• 寄生虫の予防（ノミ、ダニ、回虫）
• ストレスの軽減
• 健康的な食事と運動

まとめ

白血球数が高いことは、感染症、炎症、悪性腫瘍などのさまざまな病気のサインです。原因を特定するために獣医による検査が必要であり、治療法は根本的な原因によって異なります。白血球数の上昇に気づいたら、すぐに獣医を受診することが重要です。早期診断と治療により、予後を改善することができます。

付録

表1：白血球の種類と機能

表2：犬の白血球数の正常範囲

表3：白血球数が高い場合の一般的な原因